『君がくるまで』制作風景
1. 言葉:ナツオ
なんとなく「歌詞になるのかな?」と意識しながら、自分の書いてみたいものをラフに書き始めた。
童謡『思い出のアルバム』や『四季の歌』、『枕草子』のように季節が感じられるものがいいなと思い、まず季節のイメージをピックアップ。
私自身「暇つぶし」が好きということで、ダラダラと待つイメージも入れてみようと思い、その辺りを人物像に肉付け。
書きながら「暇をつぶしているようじゃどうしようもないな」というツッコミが湧いてきたため、「待ち人来ず」にストーリーを着地させてみた。
かわいらしいイメージから始まって、卑しい(たくましい?)イメージへ。
季節と共に恋愛観も変わっていく様が、書いていて動きがあり楽しかったです。
私の描いた人物像は怠惰で流されやすい気ままな男性イメージでしたが、できあがった絵やメロディの効果によって、素直で真面目な印象が追加されたのも、作品としてのゆとりになったのかなと面白く感じました。
2. 音楽:古田愛弓
冒頭の「春はあこがれ」という語感がとても良くて、すぐにメロディがつきました。歌詞から歌を書くとき、旋律が言葉から自然に引き出されるという体験を度々するのですが、この作品はまさしくそういう言葉たちでした。
声に出して詩を読んでいるような感覚でつけたメロディ、語感のかわいらしさに沿って軽やかな八分の六拍子で、コード進行も今回は素直に。
私の意思や強い意図というよりも、ほんとうにそのほとんどを言葉に引き出してもらってできた音楽という感覚です。やさしい言葉たちを存分に味わっていただけるように作りました。
3. 絵:キノピ
季節を感じさせる言葉がとても心地よく散りばめられていたので、絵にも季節を感じさせるものを散りばめようと思い、季節ごとに絵を仕上げました。絵本『ぐりとぐら』の山脇百合子さんのような絵が描きたいと思い、参考にさせていただきました。
言葉にメロディがつくことでかなり枠組みが出来上がっていたので、その枠に沿って手を動かすだけでほぼ絵が出来上がったような感じでした。
通り抜ける風も感じ取ることができるようなゆったりとした空気感と、誰かを待っているときの待ち遠しさや切なさを、私自身が追体験しながら楽しんで描かせていただきました。